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〈後編〉ひとりひとりの選択が街を変えてゆく / 暮らしかた冒険家 presents OFF-GRID LIFE

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crosstalk
2014.11.27

暮らしかた冒険家 meets

volume 4ポートランドのDIYカルチャー

  • Text伊藤 菜衣子, 池田 秀紀
  • Photo伊藤 菜衣子, 池田 秀紀

〈後編〉ひとりひとりの選択が街を変えてゆく

大量生産・大量消費の象徴だと思っていたアメリカにおいて、ひときわオルタナティブでオーガニックでヒップな空気を漂わせる街があります。それは、アメリカ西海岸、サンフランシスコとシアトルの間に位置するオレゴン州の「ポートランド」。「全米で住みたい都市No.1」とも言われ、日本でもここ2年ほどエコでクリエイティブな都市として、ストリートカルチャーやショップ、街づくりやライフスタイルの紹介を目にする機会が急激に増えました。 ダウンタウンにはファストフードの店はほとんどなく、アメリカのファストカルチャーとほどよくOFF-GRID(=距離をおいている)。人口わずか60万人、大都市ほど気取ったり洗練された感じもなく、郊外には森と湖の大自然、人々が日々、活き活きと暮らしているのが印象的。 暮らしかた冒険家が「暮らしかたの冒険」をする中で「こんなビジネスがあればいいのに」「こんな仕組みがあればいいのに」と思っていたことが、この街ではふつうに存在するのです(しかも思った以上にかっこいい形で!)。 というわけで、2回に分けてアメリカの「ファストでジャンク」なイメージを完全に払拭するポートランドの今をレポートします。
Ace Hotel Portland

Ace Hotel Portland

ポートランドのダウンタウンでファストフード店を探すのは至難の業。なんでも大手チェーンストアの出店を好まない住人がとても多く、たくさんの企業が出店を断念したという話もあるほどだ。コーヒーは地元のコーヒーロースターで買う、レストランは地産地消やオーガニックなどポリシーがあるところを選ぶ、自分のショップの内装は廃材でできたものを選ぶ。と、とにかく徹底して「高くとも地元の本物を選ぶ」という人が極めて多い。ひとりひとりの選択や消費が街を変えてゆく。そんなことを実感できたはじめての街が「ポートランド」なのです。

Courrier Coffee

Courrier Coffee

Sweedeedee

Sweedeedee

Velo Cult

Velo Cult

Last Thursday on Alberta

Last Thursday on Alberta

人気コーヒーショップCoava。コーヒーはもちろん、店の内装やビジネスの仕組み自体にもこだわりが徹底されている。

アダムのシルクスクリーンTシャツのアトリエ。廃工場の一角で40㎡ほど。スモールビジネス。

ジョニイさん(@ikedahidenori)が投稿した動画 –

アダムのシルクスクリーンTシャツのアトリエ。廃工場の一角で40㎡ほど。スモールビジネス。

庭には二羽ニワトリが
まず、街を歩いていて、ユニークだなぁ、と思うのが、庭事情。多くのアメリカの一般的な家の庭は芝生で埋め尽くされ、手入れもぴっちりとされている。けれども、ポートランドの庭はハーブや野菜が中心で、雑草が生えていてもお構いなしのワイルドな状態。できることから、できるだけ、自給を試みている。そしてどうやら完璧主義ではないことが手に取るようにわかる。気張らず、無理もせずがポートランダーらしさなのかもしれない。

ニワトリや蜂を裏庭で飼っている家も珍しくなく、ポートランド市が、ニワトリ飼育のルールを作っているほど。エサは近くのスーパーマーケットでオーガニックのものが売っているという手軽さと徹底っぷりだ。住宅地には住宅地の自給の形があることを、庭先からひしひしと感じることができる。そんな風景を見て、すっかりポートランドに恋に落ちて、ニューヨークからポートランドに移住したシェフもいるほどだ。ちなみに、ニワトリは、インターネットを介して、近郊のファーマーから直接購入したりするそうだ。

庭もあるしゆうことない。 #heytour

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ワイルドすぎる庭…(笑)畑を本格的に始める予定だそう。

さすがに...ということになってガーデナーがごっそり刈り取った雑草たち...。

さすがに…ということになってガーデナーがごっそり刈り取った雑草たち…。

廃材でつくられた蜂の巣箱も売っている。

廃材でつくられた蜂の巣箱も売っている。

住宅街に突如農園が。 #heytour

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自給の先にある経済
たべものの自給をしてみるときまってぶちあたる壁は、同じ時期に同じものが大量にできること。保存食をつくっても、全部同じだと飽きてしまう。そこで生まれたのが「瓶詰めの交換会」。友人同士ではじめた集まりもFacebookを介して少しずつ大きな集いになっているそう。瓶のデコレーションも工夫して、中身も創意工夫。ひとりでやるよりも、モチベーションがぐんとあがるに違いない。たべもののオフグリッド(自給)を試みた結果、人と人の繋がる場所が増えていく。人々が自給し始めることによって生まれた<交換>という小さな経済。ポートランドらしい、暮らしを楽しむエピソードです。

瓶詰めの数々。素晴らしいパントリー。 #ちゃんとたべもの #heytour

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瓶詰めの数々。素晴らしいパントリー。ポートランドでは瓶詰めを交換する”Canning Meeting”が開催されたりしている。Portland Preservation Society

自作と交換した瓶詰めがずらりと並ぶパントリー。

自作と交換した瓶詰めがずらりと並ぶパントリー。ポートランドでは「保存食」がにわかに流行ってきている。Portland Preservation Societyというサイトもあるほどだ。

365日、ファーマーズマーケット
ポートランド市内では毎日どこかでファーマーズマーケットが開催されている。曜日ごとに場所が決まっていて、農家の出店はもちろんのこと、あらゆる加工品、カフェメニュー、ミュージシャンの演奏、バルーンアーティストまでさまざまなラインナップ。子どもたちがものすごく楽しそうなのが印象的だった。ここではSquare (スクエア)というスマートフォンをレジ代わりにクレジットカード決済できるサービスが主流になっていた。スモールビジネスのためのサービスの普及がめまぐるしく、どんな小さな店でも、カード決算ができるのは、さすがアメリカ。

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近所のスーパーでさえオーガニック野菜ばかりだ

ジョニイさん(@ikedahidenori)が投稿した動画 –

近所のスーパーでさえオーガニック野菜ばかりだ

よい日曜日。 #heytour

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住宅地の中にある比較的小さなファーマーズマーケット会場。普段は公園の駐車場だ。ポートランドでは毎日どこかしらで開催されている。

コンパクトシティ、ヒッピー、そして自由の街
今でさえ「全米一住みたい都市」のポートランドだが、十数年前までは一地方都市でしかなかった。日本で言うと鹿児島市ほどの人口60万人弱の都市が、どうしてこんなにも注目されるようになったのか。都市の成り立ちにヒントがあった。

60年代、アメリカ国内で巻き起こった急激な都市化によって進む開発・公害・人口膨張に対して、ポートランドの人々が立ち上がった。近代化政策に反対する市長を選挙で選び、次々と既定路線の政策を撤回する中、「都市成長境界線」――開発は街中にとどめ、周辺は手付かずの自然を残す政策――が制定されたのが1979年。これにより、長い間郊外の開発は抑制され、街中では歩ける範囲にあらゆるお店やサービスがあり、郊外でも15分も自転車に乗れば回れてしまい、郊外から一歩飛び出せばすぐに大自然、というコンパクトかつ自然豊かな都市が形成された。

そして、もっと遡ること、西部開拓時代。Go West!の掛け声とともに東海岸からやって来た人々は、ゴールドラッシュに夢を求めた人々は南へ、そうでないオルタナティブな暮らしを求めた人々は北へと別れた。メインストリームから外れてシアトルやポートランドを選択した人々。この時点でちょっと変わり者だったのかもしれない。

その後時は流れ70年代、ポートランドにも南から生まれたヒッピームーブメントが波及すると、ポートランドの人々はそれを受け入れた。こうして独自のカルチャーが形成されていくことになったとも言われている。そして、街の雰囲気や取り組みに賛同した人々が移住してくることによって、さらにオルタナティブな街へと変貌を遂げているのです。

Powell's Books

Powell’s Books

Stumptown Coffee Roasters

Stumptown Coffee Roasters

Ace Hotel

Ace Hotel

エコ≠貧しい
そして、ここまで読んで、ポートランドの人々は慎ましい暮らしをしているように思うひとが多いかもしれない。しかし、この街がおもしろいのは、ナイキの本社があり、わりと高給なクリエイティブクラスが多く、さらにその人たちの「意識が高い」というバランスにもあると思う。要するに、お金や時間の使いどころが素敵な人が多いのだ。ローカルでオルタナティブなビジネスが育ってゆくし、小さくてクリエイティブな仕事で多くの人が食っていける。その好循環がこの街をどんどんおもしろくしている。

Stumptown Coffee Roasters

Stumptown Coffee Roasters

Ace Hotel

Ace Hotel

暮らしかたをDIYする
Airbnbのエミリーとアダムの家に泊まっていた時のこと。「今から湖にキャンプに行ってくる」と、思い立ったらすぐ行動。ものの10分で1泊分の荷物を車に積んで旅立っていった。夏の夕暮れ時、外では庭先で家族と夕飯をたべる人、友人らと談笑する人、ひとり本を読む人。ポートランドでは1年の2/3もの間、太陽が出ない。だからここぞとばかり夏を楽しもうとする(それは緯度が同じの姉妹都市、札幌とどこか似ている)。この街にはカラオケもゲームセンターもない。だけど、「娯楽」はたくさんあった。みんな自分の時間の使いかたを知っているように見えた。

なんとカヌーつくっちゃった人!DIY!

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突然キャンプへ行くことになった人達。カヌーと犬積んでったw #heytour

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旅を通じて、ポートランダーのDIY精神は家造りに限らないと気づいた。彼らは暮らしかたそのものもDIYしているのだ。家も、食べものも、娯楽も、仕事も。与えられた選択肢ぶ・消費するという姿勢とはどうも違う。むしろ気に入るものがなければ作る、と徹底している。

そんな彼らでもマイケル・ムーアが描くような母国アメリカにうんざりしていような空気を感じることがあった。それでもというか、だからこそというか、なおさら自分たちは、美味しく、楽しく、カッコよく、フェアで、サステナブルでハッピーに暮らすんだ、ということに貪欲なのかもしれない。

2回にわたってお届けしてきたポートランド特集、いかがでしたか。来年の夏もまたポートランドへ行こうと企んでいます。にやにや。みなさんもポートランドに行く機会があれば、せっかくなのでガイドブックに紹介されているお店に行くだけでなく、一歩踏み込んで暮らしのDIYの精神を浴びるように体感することをオススメします!

近所に刺さってた看板、これどういう意味?? #heytour

ジョニイさん(@ikedahidenori)が投稿した写真 –

この数年ポートランドが注目されるに伴い地価が上昇、家を追われる貧困層が増えているそう。裕福でない彼らやアーティストたちは郊外の周縁に移り住んでいる。同じことはニューヨーク・ブルックリンでも起きていた。今後、ポートランドが他の都市と同様な資本主義のルールで変わっていくのか否か、注目している。

ヤベーここのバーガーマジ美味い!ブルーチーズ最高!アメリカなめてたーーごめんなさい! #heytour

ジョニイさん(@ikedahidenori)が投稿した動画 –

ポートランドへ行ったらコーヒーとビールはもちろん、ぜひハンバーガーは食べてほしい。もちろん「レア」で。とびきり美味しいお店を探すのもまた一興。

ビールでも飲みにいくか。 #heytour

ジョニイさん(@ikedahidenori)が投稿した動画 –

Ace Hotelからの眺め。この頃はとにかく晴れ続きで昼間は39℃くらいあるけど湿度がなく過ごしやすいというなんとも不思議な気候。でも夜はしっかり冷えてひと桁台…!!大陸性気候恐るべしです。そして日が暮れるのは夜9時頃!

シアトルからの乗り継ぎなどで運良く(?)Alaska Airlinesに乗れればPacific Northwestなビールがタダで飲める!