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第十回|捨てずに、繋げて残していくためのデザイン(2)【最終回】 / 暮らしかた冒険家 presents OFF-GRID LIFE

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crosstalk
2014.10.16

暮らしかた冒険家 meets

volume 3暮らしかた冒険家×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)音だって未来だって“選べる”

  • Text鈴木 絵美里
  • Photo伊藤 菜衣子, 池田 秀紀

第十回|捨てずに、繋げて残していくためのデザイン(2)【最終回】

今回、暮らしかた冒険家が訪ねたのは、バンドASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマン、ゴッチこと後藤正文さん。音楽のみならず、2011年からは未来を考える新聞『THE FUTURE TIMES』を制作、無料で配布するなど、30代ミュージシャンきってのオピニオンリーダー的な存在です。これまでにも、脱原発の音楽イベント『NO NUKES』の現場などで交流を深めてきた暮らしかた冒険家と後藤さん。自身のライブステージにも太陽光エネルギーを用いている彼とともに、今回は21世紀を担う世代の「豊かさ」や「お金の使い方」、「伝え方」のおはなしをじっくりしてきました。ちなみに取材は、北海道で開催されている『RISING SUN ROCK FESTIVAL「BOHEMIAN GARDEN」に後藤さんがソロで出演された後に行われました。そんなフェス会場の熱も少し帯びたキャッチボール、どうぞお楽しみください。

ジョニー:後藤さんはよく、音楽についてもリスナーがいい音楽を作ると言いますけど、それって社会についても同じことが言えますよね。

後藤:絶対そうでしょう。自分がリアルタイムで参加できなかったけれど、とてもいいなと思うものってさ、当時の人たちがちゃんと熱狂してくれたから今も残っているわけ。本だってちゃんと読み繋いでくれたから今も文庫化されたり図書館にあったりして、自分が読めるわけだから。そうやって繋いできてくれた人たちがいるからこそ、今、恩恵を受けているんだな、って思う。自分は発信者でもあるけど、リスナーというか受け手でもあるからね。なんかそういうことをすごく意識してる。ちゃんといい本を読んで残そう、とか。

ジョニー:家でいうと、建てて30年経つと壊れちゃう家とか(笑)。そんなものを建てて次の世代に残そうという意思は見えないし。

菜衣子:札幌国際芸術祭期間中、わが家はアート作品なので、人がやってくる(4)わけです。いわゆるリノベ途中の家で、今は来た人にヘラを渡して壁紙をはがすっていうワークショップをやっていて。フランスの方がいらして「フランスのほうが壁紙はがしやすいなあ」って言っていたのが印象的でした。貼り替えることを前提に貼っている壁紙と、日本は30年はがれないことを前提に貼っているものだから、なんか全然違うなあ!って。

(4)札幌国際芸術祭2014暮らしかた冒険家出展作品“hey, Sapporo”:札幌で築30年の家をリノベーションしながら、「ないものねだりから、あるものみっけの暮らしかた」をコンセプトに、15年後の住まい、たべもの、コミュニティー、エネルギーのあり方などを地域の人々と一緒に模索しています。

後藤:そういうのもきっと調べたら国や文化の間で違いがあっておもしろいだろうねえ。水道管の埋め込み方も違うって聞いたことがあるよ。日本は改装しにくいっていうか。

菜衣子:そう、「改装前提ではないんだ」って。今回いろんな国や世代の人が来るから反応がおもしろい。ご年配の方が来たら、きれいなクロスだったのに、どうしてあなたたちははがしてるのって呆然として帰ったりするし。なんかそういう世代間の住宅に関する違いっていうか。「これはがして漆喰塗るんです」っていったら同世代とかちょっと上の人たちはいいねって言ってくれるけど、うちのおばあちゃんとかは「何やってるのあなたたち」って感じだし(笑)。リテラシーが全然違うっていうか…。

後藤:うん。そういう意味では、もう一度自分たちで日本を再発見しなきゃいけないなってすごく思う。どこに繋がるか。漆喰とか土壁っていうのもそういう類いのもので、伝統的な技術とかに繋がってくるし。音楽も僕たちは「邦楽」ってちゃんと知らないし。そういう歴史のようなものを見つめ直してみるのはおもしろいなあっていうね。ちゃんと繋がり直そう、みたいなムーブメントはあっていいんじゃないかと思うんだよねえ。自分たちで言う「クールジャパン!」じゃなくて(笑)

菜衣子:(笑)

後藤:ああいう「売り込んでこう!」っていうことじゃなくて、俺たちはもっと文化的な内省が必要だろうなあと思う。何がみんなに認められているのか、が逆転しちゃっている。「こう見られているから、じゃあこういうのが売れるんだったら、それを売りにいこう」ってなれば。

菜衣子:そう、それ。

後藤:例えば漫画とかの文化って、漢字とか表象文字の文化とも繋がってくると思うし。あと、浮世絵や屏風絵なんかをみてもね、すごく漫画的だなと思うし。脈々と受け継いでいる何かがあると思う。他にも、たとえば仏像なんかの仏教芸術って、宗教心によって捧げられている、質実剛健な感じがする時代のものが俺は好きなんだけど、そういう捧げ方っていうのには音楽をやっていて考えさせられるところがある。そうやって繋がっていくとおもしろいなあって思っています。

ジョニー:そうですね。最後に、後藤さん、2014年も『NO NUKES 2014』に出演されるということで。もう今年で4回目でしょうか?皆勤賞ですよね、おめでとうございます(笑)ええと、そこで今回、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが発信しているメッセージ(http://nonukes2014.net/message)、僕とても好きなんですよね。ちょっと引用すると、

反対することに違和感があるならば、こう言い換えればいい。
僕たちは『NO NUKES』を “選ぶ” と。

明るい未来にYESと叫べばいいんだ。
それが何よりも強い『NO NUKES』だから。
そして選ぶことだよ。政治家も、身の回りのこともすべて。

カッコイイです。でも、本当にそういうことですよね。自分たちの未来は自分たちで“選ぶ”、と。もし選ぶ未来がなければ、自分たちでつくればいい。『OFF-GRID LIFE』では、そのための選択肢をどんどん紹介できたらいいな、って思っています。もちろんひとつではなく、多様な選択肢を。
今回は、長時間のインタビュー、どうもありがとうございました!

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