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第九回|捨てずに、繋げて残していくためのデザイン(1) / 暮らしかた冒険家 presents OFF-GRID LIFE

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crosstalk
2014.10.13

暮らしかた冒険家 meets

volume 3暮らしかた冒険家×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)音だって未来だって“選べる”

  • Text鈴木 絵美里
  • Photo伊藤 菜衣子, 池田 秀紀

第九回|捨てずに、繋げて残していくためのデザイン(1)

今回、暮らしかた冒険家が訪ねたのは、バンドASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマン、ゴッチこと後藤正文さん。音楽のみならず、2011年からは未来を考える新聞『THE FUTURE TIMES』を制作、無料で配布するなど、30代ミュージシャンきってのオピニオンリーダー的な存在です。これまでにも、脱原発の音楽イベント『NO NUKES』の現場などで交流を深めてきた暮らしかた冒険家と後藤さん。自身のライブステージにも太陽光エネルギーを用いている彼とともに、今回は21世紀を担う世代の「豊かさ」や「お金の使い方」、「伝え方」のおはなしをじっくりしてきました。ちなみに取材は、北海道で開催されている『RISING SUN ROCK FESTIVAL「BOHEMIAN GARDEN」に後藤さんがソロで出演された後に行われました。そんなフェス会場の熱も少し帯びたキャッチボール、どうぞお楽しみください。
捨てなくてよいものを選ぶことや、よいものをメンテナンスしてずっと使っていくこと。キーとなるのはやっぱり「質」? 暮らしかた冒険家や後藤さんが日本以外の場所で発見した事例も交えて、聞いてみましょう。

後藤:原発についても震災前からいろいろ調べたりしていたんだよね。震災以前から坂本龍一さんとは繋がりがあって「ゴッチくんいろいろやっているみたいだねえ」って声かけたりもらったり「これを読むといいよ」って本をすすめてくれたりするんだけど。アイヌの音楽が好きだったらコレ読みなさい、とかね。すごく影響されているかなあ。

菜衣子:教授の読書リスト!あのリストで人生変わっちゃったひとっていうのがいっぱいいて(笑)。みんなが「これを読め」って教授にいろいろ薦められているんですよね。

後藤:そういう本を通して興味が湧いたことはたくさんあるけれど、原発については、捨てるものがまずいんだってことかなあ。要は「もんじゅがうまくいって、元々言われていたような夢のようなことが実現できる」として、捨てる放射性廃棄物が限りなくゼロに近くなったとしたら、そりゃ最高だよ。捨てるものがない、っていうんだもの。でも現実には核燃料の再処理をするとゴミが増えるんだ、と。えー増えるの!?って。それ知らなかったよ、ってね。

菜衣子:ええ、そうです(苦笑)。

後藤:しかも、捨てなければならないものが超猛毒って…。だからやっぱり捨てるのはだめだよね。なるべく捨てるものがないほうがいい。例えば、ペットボトルとかだってどうしてリターナブルにしないんだろね。ドイツとかやっているよね。随分前にそのこと知ったけど、ペットボトルが厚い、みたいな。先鋭的!って思ったよ。使い回せるもんね。

菜衣子:前回の取材で、森みわさんは、建築の勉強でドイツに行っていて「ドイツはどうして正しいことが正しく進むのだろう」ってことに興味が湧いたそうで。観察した結果「暮らしかただ」と気付いたとおっしゃってました。暮らしかたや、暮らしの質。物を捨てない、だとか、家にどういうものを置くか、とか。そういうひとつひとつの結果としてエコハウスとかパッシブハウスになったっていうこと。暮らしの質に敏感だから、環境のことにも気付くようになってるって。でも日本では「CO2を削減しましょう」って標語だけをつけて、それになんとなく向かう、というような。それくらいの差がドイツと日本の間にはあって、そこをなんとかしなきゃいけない、と。「だから私も最近建築だけやっていればいいって感じでもなくなっちゃっているのよ」っておっしゃっていて。

後藤:森さん、是非取材してお話うかがいたいなぁ。僕ね、最近すごく建築家に興味がある。なぜかというと、ヨーロッパに行ったのがきっかけで、むこうの駅舎とかすごくかっこいい。リエージュ(※ベルギー。スペインの建築家サンティアゴ・カラトラヴァによるガラスとスチールをメインに用いられた新駅舎が2008年に完成した)かな、すごく感動した。建物のなかにまで自然光がわーっと入ってきて。こんなの昼間だったらひとつも電気要らないじゃんって。そして、日本の自分たちが普段使っている駅とか比べちゃって絶望的な気分になったりするわけですよ。

ベルギー、リエージュ駅の駅舎。画期的な採光のためのデザインに感動する(後藤さん撮影)

ベルギー、リエージュ駅の駅舎。画期的な採光のためのデザインに感動する(後藤さん撮影)

菜衣子:わかります、その絶望。

後藤:この差はなんなんだろうね。なんで日本では、みんなこんなにかっこ悪い駅舎を共有しているんだろうって思う。ヨーロッパの電車の駅がどこもかっこよくて、きっとそれだけでこの街に住んでいる人たちの気分がよくなるんだろうなって思った体験が今の建築家への興味に強く影響している。ケルンの駅前にものすごく美しい大聖堂があるわけだけど、それだけで「ああ、この街に住んでみたい!」って思わせられるほどのインパクトがあるわけで、やっぱり町並みって大事だなと。だから……これまでの建築家たちが怠慢だった部分ってあるんじゃないのかな。クライアントのせいかな(笑)。たとえば日本で新幹線の車窓から街を見ていても、絶望的に感じることはよくある。工場とかもさ、全部、形が上九一色村にあったオウムのなんとかサティアンと形が一緒なんだよ?!

菜衣子:去年、何度かアメリカのポートランドに行って。ポートランドって米国内でも圧倒的にヨーロッパみたいな思考の人が多い。古い建物を残しましょう、とか、クルマはなるべく見えないようにしましょう、とか。街中の再開発を担当した建築事務所の創立者がたまたま友達のお父さんで、その方に街を案内してもらったときに、大きいプロジェクトをやる際は市役所の人を出向させて自分の建築事務所で雇うらしい。そして、法律などのいろんなことに引っかかる部分は、雇った彼らが市役所と交渉して細かいところを詰めたり。あと、消防法にひっかかったときは、どうして歴史のある建物を残そうとしているのにこれじゃあダメなんだと、責任者がワシントンD.C.にチャーターしたヘリで飛んで交渉する!そんなことをして町並みを残しているっておっしゃっていて感動しました。なんてクリエイティブなんだ!って。

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暮らしかた冒険家が行ったアメリカ・ポートランドシティ。暮らしかた冒険家が目指す「高品質低空飛行」な暮らしを実践している。

暮らしかた冒険家が行ったアメリカ・ポートランドシティ。暮らしかた冒険家が目指す「高品質低空飛行」な暮らしを実践している街。

後藤:サーチ&デストロイ、スクラップ&ビルドみたいなのがもう最先端ではなくって、どうやって受け継ぎながら新しくしていくかってことだよね。流れとして意識していくか、っていうね。血脈なのか、水流なのか、ツリーなのかわからないけど。
日本の場合は戦争ですべてが破壊されてしまった後に、一気にしょうもないものが増えすぎちゃっているような。まあもちろんいいものもあるとは思うんだけど。

菜衣子:やっぱり、戦後の復興で慌てたのかな。

ジョニー:住宅が足りないっていう時代があったのは確かで、とにかく安く早く、規格化された住宅を供給してきた背景があって。でもそれがそのまま現在まで続いているっていうのは……。街や建築をつくってきた人々の責任もあるとは思うんですけど、でもやっぱりそれに対して黙ってた消費者も消費者っていうか、共犯関係みたいな感じだと思っていますね。

後藤:安さと早さを優先して、建て売り住宅とかを買っちゃうからね。それでも「憧れのマイホーム」なわけで。開発する側の、その宣伝文句もどうよってことだよね。

つづく